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2025.02.19

new works 1975

広島市中区のアーケード内のテナントビル3F。閉ざされた狭い螺旋階段から店内に入るアプローチの悪い物件をメンズサロン(男性専用美容院)に改修するプロジェクト。

視認性とアプローチの悪さを逆手にここに辿り着いた人だけが知ることができるファッション、アートやライフスタイルをお店が提案することで、また通いたくなる自分だけが知っている他人に教えたくない会員制のオンラインサロンのような空間ができないか考えた。

店名は1975、同名のイギリスのミュージシャンThe 1975が由来で私も過去にアルバムを聞いていたことがあり、音楽がクライアントとの共通のイメージソースとなった。

男性客はここと決めたら通い続けることからリピート率を高めることがメンズサロンを経営する上で大事な要素であり、また来たいと思わせるギミックが必要となる。

人知れない閉ざされた場所、男性がリピートするギミック、音楽が共通イメージ、これらの言葉から浮かび上がったのはレコードをディグする行為だった。
詰め込まれたレコードボックスから自分の琴線に触れるもの探し引きだす行為。サブスクが当たり前になった現在でもそのスタイルは生き続け、レコードを一枚一枚取り出し掘るたびにその世界に魅了されていく、
そんなストーリーを落とし込むことで、訪れる度に沼のようにハマっていくレコードショップのようなメンズサロンができればと考えた。

しかし大事なのは求める客層がレコードショップに足を運ぶDJや音楽に造詣の深い人々ではないということ。

系列店の顧客層から分析するとファッション、アートやビューティーに興味のある中性的な男性がメインとなる。

そこでレコードスリーブの連なりをスケールアウトさせ大きく透明なアクリル板34枚に見立て空間内にL型に自立させ配置することで透明感のあるアクリルでできたミニマルなレコードショップを表現している。透明な板の反復は狭く閉塞感のある空間に無限の広がりを与え、その間に様々な機能やストーリーを埋め込ませた。

 

情報がネットやSNSに在ることが当たり前な現代、立地の悪さを逆手に取りストーリーを埋め込ませ、自ら足を運び探して知識や体験を得るそんなインテリジェンスな男心をくすぐる体験と仕組みを作ることで訪れた人の記憶に色濃く残るようになり、新しい顧客を多く獲得するのではないかと思う。

 

 

 

LOGO:
久保章(guide)

 

BOOK SELECT:
清政光博(READAN DEAT)

 

STEEL:
村田進(KAMO CRAFT)

 

PHOTO:

足袋井竜也(足袋井写真事務所)

 

1975

〒730-0035
広島県広島市中区本通1番4号 セレッソ金座街3F
OPEN
11:00~21:00
CLOSE
Tuesday
TEL
082-530-5254

URL:
https://beauty.hotpepper.jp/slnH000715368/