WORKS

811

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CATEGORY: SHOP

CONCEPT:
商店街の裏通りに位置する軽自動車が一台入るガレージスペース。

令和二年初め、この場所で多国籍な串焼屋を営みたいと依頼を受けた。店主は地元の老舗焼鳥屋で修行する前は型枠工や解体業の経験もあり少しアウトローな若者。なるべく業者に頼らず自分の力で施工をしたいとの事だった。

呉の屋台のような賑わいのある空間にしたいと希望を受け、改めて街の屋台の事を考えた。一度入れば隣のお客さんと話しが盛り上がり時にはそのまま喧嘩になったり…独特の賑わいや心の隙が生まれるのはやはり今にも壊れそうな空間の儚さにあるのではないかと考えた。

暗く歩道もなく人通りもまばらなこの通りにおいて、屋台のような儚い建築はしっくりするほど当てはまるであろうと考えた。しかしそこに違和感がなければただの人気のない路地裏の屋台として風景に溶け込んでしまう。

そこで考えたのがデザインとDIYの融合である。
DIYは私達空間デザイナーにとっては対極に値するものであり、クライアントからその一言が出れば私達の出る幕は一気になくなってしまう。

ただ今回、大工工事は宮大工でもある店主の父親が担当してくれるとのことだ。それを聞けた時、今までにない空間ができるのではないだろうかと確信した。

一度デザインしたものをDIYの本場であるホームセンターで購入できる材料に落とし込み、大工の父と型枠工の経験もある料理人の息子が仲間に助けてもらいながら作り上げていく。

誰でも手に入れることのできるアクリルの波板やアルミ複合板、垂木で誰も真似できない空間を作り上げる。

DIYの荒さや低価格からくる安心感や素材の儚さと、

デザインされたこだわりのディティールやそこから生まれる緊張感。

相入れない二つの事象をひとつの空間に落とし込む事でそこには交わることのない二つの要素の隙間が生まれるではないだろうか。

その隙間に吸い寄せられるように様々な人々が自然と集まり賑わいが形成されていければと考える。

DETAILS :

コロナウィルスによって様式も変わっていく途中の令和二年春。空間もそれにならって変化していかなければならなかった。狭い空間ながらテイクアウトと客席の比重を限りなく同数に近づけるべくファサードには立ち飲み+テイクアウトカウンターをメインで設けている。窓のすぐ下では店主が焼き鳥を焼く姿がのぞけることでテイクアウトと客席の両方にとってのしずる感として通りにガツンと主張できるように考えた。メニューボードはアルポリを角で突き合わせで貼り角面をマスキングテープ風塗装で仕上げた。躯体部分との隙間をエントランスとしグラフィックデザインを施したビニールカーテンで区切り客席へと繋がらせている。

借りる以前の工事途中から時が止まった躯体壁面や、手書きのグラフィック、マスキングテープを模したピンクのライン塗装、急に現れる無造作に貼られた面取りタイルなど

現場のストーリー性、熱気や躍動感があえて伝わるように工事中の状態を残す演出を施した。その雰囲気が宮大工の父が組み木で作り上げたフレーム、50角タイルが貼られたカウンターや厨房のレンガタイル壁などデザインされたディティールと対比されることで空間には違和感の隙間が所々に生まれ、そこが屋台の持つ儚い開放感へと繋がってもらえれば、人々が自然と吸い込まれるように集まっていく異空間へと変貌するのではないだろうか・・・・・・

静観な裏通りはどこも風除室を設けた老舗の名店が多い中、若く活気のあるルーキーが道路の目の前で串を焼くことで新たなにぎわいを形成し、通り全体を盛り上げてくれたらと考える。

GRAPHIC:
広本理絵

GREEN:
大塩健三郎

PHOTO:
足袋井竜也

完成日:
2020.AUG

〒737-0046
広島県呉市中通3-8-11
OPEN
17:30 〜 2600

CLOSE
不定休
TEL
0823-27-6177

URL:
https://www.instagram.com/kure_811/

MEDIA:
architecturephoto
建築知識 2022年2月号

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CONCEPT:
商店街の裏通りに位置する軽自動車が一台入るガレージスペース。

令和二年初め、この場所で多国籍な串焼屋を営みたいと依頼を受けた。店主は地元の老舗焼鳥屋で修行する前は型枠工や解体業の経験もあり少しアウトローな若者。なるべく業者に頼らず自分の力で施工をしたいとの事だった。

呉の屋台のような賑わいのある空間にしたいと希望を受け、改めて街の屋台の事を考えた。一度入れば隣のお客さんと話しが盛り上がり時にはそのまま喧嘩になったり…独特の賑わいや心の隙が生まれるのはやはり今にも壊れそうな空間の儚さにあるのではないかと考えた。

暗く歩道もなく人通りもまばらなこの通りにおいて、屋台のような儚い建築はしっくりするほど当てはまるであろうと考えた。しかしそこに違和感がなければただの人気のない路地裏の屋台として風景に溶け込んでしまう。

そこで考えたのがデザインとDIYの融合である。
DIYは私達空間デザイナーにとっては対極に値するものであり、クライアントからその一言が出れば私達の出る幕は一気になくなってしまう。

ただ今回、大工工事は宮大工でもある店主の父親が担当してくれるとのことだ。それを聞けた時、今までにない空間ができるのではないだろうかと確信した。

一度デザインしたものをDIYの本場であるホームセンターで購入できる材料に落とし込み、大工の父と型枠工の経験もある料理人の息子が仲間に助けてもらいながら作り上げていく。

誰でも手に入れることのできるアクリルの波板やアルミ複合板、垂木で誰も真似できない空間を作り上げる。

DIYの荒さや低価格からくる安心感や素材の儚さと、

デザインされたこだわりのディティールやそこから生まれる緊張感。

相入れない二つの事象をひとつの空間に落とし込む事でそこには交わることのない二つの要素の隙間が生まれるではないだろうか。

その隙間に吸い寄せられるように様々な人々が自然と集まり賑わいが形成されていければと考える。

DETAILS :

コロナウィルスによって様式も変わっていく途中の令和二年春。空間もそれにならって変化していかなければならなかった。狭い空間ながらテイクアウトと客席の比重を限りなく同数に近づけるべくファサードには立ち飲み+テイクアウトカウンターをメインで設けている。窓のすぐ下では店主が焼き鳥を焼く姿がのぞけることでテイクアウトと客席の両方にとってのしずる感として通りにガツンと主張できるように考えた。メニューボードはアルポリを角で突き合わせで貼り角面をマスキングテープ風塗装で仕上げた。躯体部分との隙間をエントランスとしグラフィックデザインを施したビニールカーテンで区切り客席へと繋がらせている。

借りる以前の工事途中から時が止まった躯体壁面や、手書きのグラフィック、マスキングテープを模したピンクのライン塗装、急に現れる無造作に貼られた面取りタイルなど

現場のストーリー性、熱気や躍動感があえて伝わるように工事中の状態を残す演出を施した。その雰囲気が宮大工の父が組み木で作り上げたフレーム、50角タイルが貼られたカウンターや厨房のレンガタイル壁などデザインされたディティールと対比されることで空間には違和感の隙間が所々に生まれ、そこが屋台の持つ儚い開放感へと繋がってもらえれば、人々が自然と吸い込まれるように集まっていく異空間へと変貌するのではないだろうか・・・・・・

静観な裏通りはどこも風除室を設けた老舗の名店が多い中、若く活気のあるルーキーが道路の目の前で串を焼くことで新たなにぎわいを形成し、通り全体を盛り上げてくれたらと考える。

GRAPHIC:
広本理絵

GREEN:
大塩健三郎

PHOTO:
足袋井竜也

完成日:
2020.AUG

〒737-0046
広島県呉市中通3-8-11
OPEN
17:30 〜 2600

CLOSE
不定休
TEL
0823-27-6177

URL:
https://www.instagram.com/kure_811/

MEDIA:
architecturephoto
建築知識 2022年2月号